Clarissa 最終話を聞き終えました

悪漢のLovelaceもRAにあの声であんなふうに演じられるとね…(^^;
行動は許しがたいにも関わらず、気味の悪い恐ろしさとともに時々見え隠れする彼の魅力に抗えない部分もあり、「オンナとしてそれは絶対ダメ!」と自戒しながら聴きました(苦笑)。


過去に、たぶん初めて愛した女性からひどい仕打ちを受けて、女性を全く信じられなくなってしまった男。真に美徳と貞節をそなえた女性なんかこの世に存在しないという価値観で生きている放蕩者。でもヒロイン(Clarissa)にどうしようもなく魅かれてしまう。そのあたりのLovelaceの葛藤を台詞だけで見事に演じていたRAでした。
一見ロマンス小説に出てきそうな男性なのが興味深いところですが、18世紀の男性作家が書いた作品だから途中で改心することもなく、お約束のようにヒロインは悲劇的結末を迎えてしまいます。Lovelace自身も...。

全体としては本当に聴きごたえがあってとても良かったのです。今まで聞いたラジオドラマのなかで一番です。
でも最終話だけはいくつか不満が残ってしまったので以下に勝手に呟いております。



正直なところ、第3話までのRAの演技が素晴らしかっただけに、もっとドラマチックなLovelaceの最期を期待して聞いたのですが、何だかあっ気なく物足りない幕切れでした。

最終回のたった1時間の中で3人の登場人物が死んでしまう場面、現実離れした脚本だったのでいろいろ雑感が入ってしまい、それぞれの死を非常に冷めた目でみてしまった耳でしか聞けなかったのが残念でした。
Dorcasの縊死の直前の嘆きは涙をさそう演技だったのに、Mrs SinclairがDorcasを発見する場面が慌ただしくていかにも作り話的でDorcas役の女優さん(声優さん)の熱演を台無しにしてしまったと感じたし 
Clarissaの最期も衰弱して枯れるように逝く姿が全然イメージできませんでした。
Lovelaceに至っては、2日間失血し続けて最期を迎える人が何故あんなに力強く大声で叫ぶ??とかなり引いてしまいました。
脚本のせいだと思うけど(原作もそうなのかな?)、この部分だけはRAの演技もあまり好きになれませんでした…。
ラジオドラマは姿や表情で演じられない分、難しいのでしょうね。息を引き取る場面も不自然な吐息で音に表さなければならなかったり…

人が生死をさまよう描写ってコメディでない限りシリアスにならざるを得ないので、
私はそこにリアリティーを求めてしまいます。小説でも同じ。ロマンスでいえば、Julia Quinn(When He was Wicked)やCatherine Anderson、Mary Jo PutneyやPamera Clareくらいちゃんとリサーチして書いてくれると嬉しい。
あり得ない描写だとすごーく引いてしまいます。