ベン・ラム The Daily Quirk のインタビュー Part1



アメリカのエンターテイメント情報サイトThe Daily Quirkに載ったベンのインタビューを訳してみました。素人なので英語読める方は原文を読んでくださいませ。An Interview with ‘The White Queen’ & ‘Divergent’ star Ben Lamb – So Fetch Daily


The Daily Quirk (以下 TDQ ) : あなたはRADA ( Royal Academy of Dramatic Arts )を卒業されていますから、かなり早い時期から俳優になろうと考えていたのではと想像します。初めて役者になりたいと思ったのはいつ頃ですか?

Ben Lamb ( 以下BL ) : 子どもの頃、たぶん10歳頃だったと思います。一般的なキリスト降誕劇のようなものをやりました。それから歌のレッスンを始めて、ある日それを聴いた人がいたんです。彼はレッスン中にやって来て「私がキャスティングしている歌劇に出演しないかい?」と言いました。「いいよ」と僕は答えました。そして結局2つの歌劇に出演することになりました。音楽部分はさておき、演技の部分はとても楽しむことが出来ました。まあ、そんなところから始まったというわけです。だから、10歳頃からずっと学校で演劇を続けていたということになると思います。
ユースグループや劇場で経験を積んでから、高校生のときにメジャーな演劇学校のオーディションを受けました。大学進学の準備をしている最中にRADAに合格し、思ったんです、「大学に行ってから、もう一度RADAに入れるなんて高望みはできない。今RADAに入学しなくては。それが自分のやりたいことなんだ」と。そして、その通りにしました。

TDQ: 素晴らしいですね。音楽的バックグラウンドから舞台を経て、映画(映像)の世界へ転身したいと常に考えていたのでしょうか?

BL: 多くの「本物の」俳優たちは様々な媒体で仕事をしたいと思っているのではないでしょうか。その方が面白いし、新鮮な気持ちで続けられるからです。僕は舞台の仕事が本当に楽しかったし、非常に大切だと思います。気取っていると思われないよう気をつけて話をしているのですが…出来るだけ多くの舞台をなるべく若いうちに経験することはとても大事なことだと思います。演技の基礎の部分がしっかり身につくからです。演技の基礎を身につけたら、スクリーンの世界でも仕事ができる。それは何というか、とても異なる体験であり、異なる技術を要することでもありますが、ある意味易しく感じます。舞台のように観客向けに非常に基礎的な演出をする必要はなく、カメラ(=視聴者)に任せます。あなたの質問に対する答えはつまり、変化に富むのは素晴らしいことで、僕はスクリーンの仕事をする前に多くの舞台を経験できたし、これからもいろいろやっていきたいということです。

TDQ: そうですね。私の母がよく言っていたのですが、「変化は人生のスパイスだ(注: 諺「いろいろあるからこそ人生には味がある」)」。それと同じことなのでしょうね。

BL: (笑)その通りです。

TDQ: あなたはTVドラマ"The White Queen"で初の主要な役どころを演じ、最近撮影を終えたばかりですが、どのような経緯でアントニー・リヴァース役を演じることになったのでしょうか?

BL: ごく一般的なオーディションのプロセスでした。まず最初に( オーディションの)部屋に入り、そして上手くやれたと感じました。その後もう一度呼ばれてディレクターとプロデューサーに会うように言われ ― その時点で「もしかしてチャンスを掴んだのかも知れない」と思うわけです。。部屋に入って行くと一人の女優さんがいて、僕は「おや、なんだか変だな。彼女は僕相手に別の台詞部分を読むんだろうか?」という感じで。彼女が「私はオーディションを受けているの」と言ったので、「オーディションを受けているのは僕の方だと思っていたよ」と。するとディレクターが現れて「ああ、ワクワクしているかい?」と言ったんです。僕が「ええと、何に対して?」と聞くと「アントニーを演じることにだよ」と。僕は「何だって?!」と驚きました。だって、彼らは僕を選んでいたのに、その女優に会うまでなのか何なのか、わざとすぐには伝えなかったのですから。まあ、そんな感じでした。その後、エージェントから正式に役を得たという連絡が来るまでの間、神経をすり減らすような1日、2日を過ごしました。ディレクターが間違えたんじゃないかとか、あるいはプロデューサーは他の考えを持っているんじゃないかと考えてしまうんです。僕の言っている意味分かりますよね。

TDQ: (クスクス笑いながら ) ええ、分かりますよ。

BL: だから 実際にはけっこう神経をすり減らすような体験であり、かつとてもエキサイティングな(仕事の)スタートでした。

TDQ: かなり精神的に疲れたのではと想像できます。

BL: 確かにかなり疲れました。でも最終的に(アントニー役に決まったという)確証を得たことでいい気分になれました。

TDQ: The White Queen は歴史が染み込んだ作品ですが、役作りのために何か特別なリサーチはされましたか?

BL: はい。僕はあのような作品にリサーチなしで取り組むのは無理があると思います。特にThe White Queenのように複雑で重層的な作品の場合には。例えば脚本を読んでいる時に瞬きをすれば、何か重要な情報を見逃してしまう。あるいは、あなたが演じる人物の台詞、その人物にとって何らかの意味がある台詞をいう場合、リサーチをしていないと文中で重要な意味を持つ感情的なつながりを表現することなく、表面的なものになってしまいます。そう、とにかくたくさん読みました。僕の場合、役が決まった時点から撮影まであまり期間がなかったんです。だから僕は…他の人たちもそうでしたが、読むということをしました。僕たち皆、撮影中に読書をしていたんです。そして(笑)ドラマのシーンを先に撮ってしまった場合には、急いで 原作の同じ場面にに追いつかなければ、みたいな感じでした 。"Oh, wow! WOW!" (原文のまま)やり損ねたことがありませんようにって。まあ、そんなことが僕が準備したことのひとつでした。

一冊、古書店で手に入れた本がありました。この手の歴史的な作品を演じる場合には、よく古書店に行ってその時代に関する書物を探すんですが、とても素晴らしい本を見つけました。題名は覚えてないのですが、第一次世界大戦中に出版された本でした。How They Lived というタイトルだったような気がします。当時のあらゆるものの値段が出版当時の物価に相当させて書かれていたり、当時の人々の日記からの引用が載っていました。どこかの司祭たちがそのとき王が何をしたとかを書いているのですが、流言ではなく個々人の異なる意見を知ることが出来るんです。だからその本は非常に興味深い資料となりました。

TDQ: それは素晴らしく興味深いですね。ほとんど(当時の)社会経済状況をまとめたような…

BL: たぶん聞いたり話したりする方が、仕上がったあなたのインタビュー記事の中で目にするよりも興味深いかもしれないですね(笑)

TDQ: いえいえ。面白い話でしたよ。俳優の方たちの「方法論」を聞くのはとても興味深いことですから… ところで、あなたはThe White Queenの撮影のために5カ月間ベルギーに滞在されたわけですが、どんな感じでしたか?

BL: 寒かった。「吐く息が白いのは撮影後にデジタル加工処理をしたからなのか?」とツイッター上で質問されて、「本当にめちゃくちゃ寒かったんだ」と返答したことがあります。リハーサル(稽古)もベルギーで行ったのですが、撮影前のリハーサルの時点では「これは素晴らしい撮影になりそうだ」と皆思ったんです。リハーサルの合間、僕たちはリラックスして食事を楽しんだり出来るし、天気は素晴らしく穏やかでした。でも凍えるほど寒くなるまでにそう長くはかかりませんでした。鎧を身につけていたら暖かいだろうと思われるかもしれませんが、実際は僕たちの衣装はリネンとかの目の粗い生地で作られていて風をまともに通してしまうものだったし、鎧といえば、小さな泡を作ってしまい( 訳注:結露のこと?)冷たい風が中でグルグル回るんです。以上が質問に対する答えですが、(撮影自体は)素晴らしいものでもありました。

ロケーションは実に美しく見事でした。歴史的な場所は特に。郊外は平坦でイングランドに似ていますが、ほんの少し異なり、おとぎ話のようでした。最初にロケ地についたときは本当に息を呑む美しさでした。僕たちは作品のスケールの大きさと景色の美しさに圧倒されました。

TDQ: ベルギーチョコレートはたくさん食べましたか? この質問はしなくちゃ…

BL: (笑)チョコレートよりビールをたくさん飲んだと思います。ブルージュは3つのもので有名です ― ええと、4つかな。ビール、チョコレート、ワッフルとフライドポテトです。ムール貝もリストに加えられますね。僕らが滞在していたアパートメントを下って行った場所にフライドポテトの博物館があったんです(笑)。僕は行かなかったけれど、アントニーの父親でリヴァース男爵役のボブ・ヒューによると、とても参考になったし最後にはタダでフライドポテトを食べることが出来たそうです。(笑)

TDQ: 撮影中に特にお気に入りの瞬間というのはありましたか?

BL: そうですね。特別に怖ろしい瞬間というのがありました。エリザベスの戴冠式の前、僕たち家族が馬に乗って通りを下って行き、民衆が手を振ったり歓声を上げたりする場面がありました。僕の馬は最初に他の俳優が乗っていたのですが、馬が恐がって落ち着かなかったので調教師は彼の乗馬技術の問題だと思い、かわりに僕をその馬に乗せたんです。きみは上手いよ、きみは上手いよと言うから僕も「そうだろ、僕って上手いよね」みたいな感じで乗ったんです(笑)。すると、その馬は皆が沈黙しながら手を振っているのを見てびっくりしたんです。マイクを通して会話が聞こえるように、手を振ったり歓声を上げたりする様子は静寂の中で撮影してアフレコを行う予定だったので。その馬は無言で手を振っている人々を見て「一体全体なにが起こってるんだ?」と思ったのでしょう。驚いて駆け出してしまいました。調教師たちは何とか馬を取り押さえ、落ち着かせるために1人が騎乗しました。その瞬間、馬が本当にパニックになってしまい、通路(のセット)やカメラをめちゃくちゃにしながら走り出してしまいました。カメラは破壊される寸前で、一部のセットは完全に壊されてしまいました。僕は馬上にいなくて本当に良かったと思いましたね。(もし乗っていたら)何が起こったか分かりませんから。

TDQ: それは本当に恐ろしい体験でしたね。



この後は映画 Divergent(邦題:ダイバージェント」の話題に移ります。日本では翻訳本が発売になったばかりで( 私も未読です)まだあまり話題になっていないし、一部ネタバレになってしまうということもあるので、続きはPart2としてまたそのうちにアップします。