Georgette Heyer初の邦訳作品−素晴らしきソフィー

素晴らしきソフィー (MIRA文庫)

素晴らしきソフィー (MIRA文庫)

19世紀のロンドン。適齢期を迎え伯母の家に預けられたソフィーは、当のリブンホール家が抱える数々の問題にすぐ気づいた。賭事三昧の伯父、詩人に恋する次女、憂い顔の次男も心配だが、実質的な家長である長男チャールズの専制君主ぶりは目に余る。家族中が彼を恐れているうえ、婚約者は究極のうるさ型で、結婚前から何かと口を出す彼女にはチャールズ自身も辟易しているらしい。このままではみんなが不幸になるわ持ち前の機転で驚くべき救済計画を立て始めたソフィー。そんな彼女を待ち受ける、思いがけない素敵な結末とは?

スーパーヒロイン、ソフィー! 若干二十歳にて、あの機転と行動力は凄過ぎです(爆)。今にもソフィーの首を絞めそうなチャールズの反応も可笑しかったけど、あの詩人のキャラは最高にコミカルでした。全体的にドタバタ劇のせいでロマンスがちょっと霞んでしまっていたような印象もありますが、面白かったです。
いやー、日本語で読んでも登場人物が途中で誰が誰だかわからなくなりました。GH作品は登場人物が多い上に、同一人物でも名前で呼んだり、姓で呼んだり、タイトルだったりするので、なかなか覚えられません。その点翻訳本は見開きに登場人物紹介があるので便利ですね。 
 arrow版はこちらThe Grand Sophy

Mr.Rivenhall pulled the door to behind them, and in a very rough fashion jerked her into his arms, and kissed her. 訳文→扉を閉めるなり、チャールズは乱暴にソフィーを抱きすくめ、荒々しくキスした。 
さて、チャールズはキスも荒々しかったのでしょうか…?
Arrowの原書は40冊とも我が家の本棚に並んでいるので、H/Hのセリフとか、時々興味を引かれた箇所は原文を読んでみました。Heyer作品の翻訳は難しいと思いますが、MIRAはやっぱりベテランの訳者さんをもってきましたね。細郷さんは語彙が豊富で、やるときは思いっきり意訳してますが、それくらいじゃないとHeyerの文章を自然な日本語にすることはできないかも。(原文に忠実な?某ラベンダーさんの翻訳はどうも苦手です) 「そうだそうですね」とか多少気になる訳はありましたが、多くのヒストリカル・ロマンスの翻訳に比べたら上出来ではないでしょうか。こんな感じなら今後の邦訳作品も読めそうです。原文で味わいたいのはやまやまですが、GH作品を順に原書で読んでいたら他のロマンスを読む時間がもてません(苦笑)。ストーリーの展開が分かっていても原書で再読したいと思えるのがGH作品の魅力だと思うし。
次の作品はジョージアンものでしょうか? These Old ShadesをとばしてDevil's Cub というパターンだけはやめて欲しいなあ。
ところで、「ジョージェット・ヘイヤー」となってますが、オーディオ・ブック等を聴くと「ジョジェット・ヘヤ―」のほうが本来の発音に近いようです。