Just One Of The Guys

Just One Of The Guys

Just One Of The Guys

Contemporary romance / Romantic comedy   10/10 
ジャーナリストのChastity O’Neillは、31歳になるのを機に故郷のEaton Fallsへ戻り、地元紙の記者として働き始めた。そろそろ身を固め、子どもも欲しい…。Chastityには4人の兄がいる。みな、長身でハンサムで父親Mikeと同じEaton Fallsの消防署に勤める地元のヒーローたちだ。 180cmをちょっぴり超える身長とがっしりした肩の持ち主で、ボート漕ぎでもマラソンでも男性に引けを取らないChastity。体格&体力的には立派な「伝説のO’Neill家」の一員だ。そんなChastitiyの最大の弱点は、流血を目にすると失神しそうになることと、Trevor Meadeの存在…。それらの弱点を克服するためのChastityの目下の目標は・・・#1. 未来の夫候補をみつけること(もちろんTrevor以外!)#2. EMT(Emergency Medical Technishan)の資格を取って名実ともにO’Neillファミリーの一員になること。
そして、未来の夫候補と意外な出会いを果たしたChastity。それも完璧な男性! これでEMTの講習さえ順調にいけば、すべて思わくどおり収まるはず…でも、どうしてもTrevorの存在を強く意識してしまう。

(以下ネタばれあります)

読了後、何日か間が空いてしまったので、あの感動をうまく文字に表せるかどうか自信がありません・・・とにかく、涙と笑いの感動のラブストーリーでした。 すぐに再読しようかと思ったくらい、余韻に浸れる作品でした。
このストーリーは一人称で語られているので、すべてChastityの視点です。Trevorの本音は、最後の感動のプロポーズ・シーンまで語られることはないのですが、彼の一言一句、一挙一動から苦悩する気持ちが伝わってきて、切なくて何度も涙がこみ上げてきました。 Chasのユーモアたっぷりの語り口もどこか自虐的で、笑いたいのか泣きたいのか自分でもよくわからなくなりながらも、夢中で読み進みました。
「未来の夫探し」についてはChastityと母親Bettyのエピソードが同時進行で語られます。Chasの両親の関係を通して消防士を夫に持つ妻のジレンマが現実的に描かれていますが、最後にBettyとChastityが対照的な選択をしたことは、プロットとしても巧みだし、物語全体に深みを与えていたと思います。



10歳の時、Chastityは転入生Michelle Meade(Trevorの妹)と仲良くなりますが、Michelleは白血病を患っていて、間もなく他界してしまいます。Michelleの死後、Meade夫妻は別離し、13歳のTrevorはアルコールにおぼれる母親からネグレクトされていました。Chastityが声をかけたのをきっかけに、Trevorは次第にO’Neille家で過ごすことが多くなり、ほとんど養子のような存在となります。大学時代のほんの短い期間、恋愛関係になったChastityとTrevorですが、TrevorにとってはChas個人もO’Neillファミリーそのものも、かけがえのない存在です。もし、Chasとの関係がこじれてしまったら、Trevorはすべてを失ってしまうことになります。やはり、友人以上の関係は続けられないと考えたTrevorと、彼の気持ちを察したChastityは元どおりの関係に戻ることに同意し、それぞれの道を歩むことにします。
私、ロマンスでH/Hが他の異性と関係を持つプロットは本来はすごく苦手です。でも、今回はH/Hの気持ちが痛いほど伝わってきたので、純粋に物語に入り込むことが出来ました。Trevorが寂しさに耐えてきたのは13歳のときからじゃないんですよね。小児がんや重い障害を持つ子の親って(特に母親)、その子に身も心もかかりっきりになるはずです。Michelleが発病したときからずっと、十分に親の関心を得ることなく、もちろん妹のことを愛しているからこそ、ひたすら我慢してきたTrevorだったと思います。O’Neill家の一員になってもちろん幸せだったと思うけれど、実の家族のことを忘れたことはなかったと思うし、新しい家族からどんなに愛されていても血を分けた家族関係と同じにはなり得ません。いつも良い子であるよう努めて気を使ってしまうんですよね 。だからTrevorがChastityを永遠に失う可能性に対してすごく臆病になってしまった気持ち、理解することができます。というよりも母性本能を直撃されてしまったというほうが的確でしょうか。

ちょっぴり暗いサイドにばかり着目して書きましたが、エンディングではこの上なくハッピーな感動が待っています!それに実にユーモアたっぷりで、笑えるシーンが盛りだくさんの作品です。特にChastityの飼い犬、ブラッドハウンドの雑種犬Buttercupが最初のヒートを迎えた時のエピソードは、もう、しばらく大笑いが止まりませんでした!  「ビバリーヒルズのセレブ犬」みたいなチワワも出てきますよ〜・笑

Just one of the Guys、本当に大満足の作品でした。
Kristan Higgins、これからも大いに期待できそうです。