Thief of Dreams

Thief of Dreams

Thief of Dreams

★★★★★  ヒストリカルロマンス>ジョージア
1998年に出版されたバログの作品。
舞台はHeartlessと同じジョージアン。Powder and patchの時代です。

Cassandraの21回目の誕生日。その日は偶然にも一年前に亡くなった父(Worthing伯爵)の命日でもありました。この一年間は叔父(亡き父の双子の弟)の保護下にあったCassですが、今日からCountess of Worthingとしてすべて自分の意志で行動できることになります(Cassandraは一人娘で、伯爵のタイトルは将来Cassの息子が継ぐことになっていました)。 叔父や叔母らの心配をよそに、自立心旺盛なCassは結婚なんて二の次で領地Kedlestonの管理も自分の手でやっていこうと意気揚々としていました。そこへ突然の訪問者(Viscount Wroxley)がやって来ます。Wroxley子爵、Nigel Wetherbyは、Worthing伯爵の親しい友人だったと自称していますが、パーティーへの招待客でもない急な訪問者に対し、親族たちは懐疑心を抱きます。しかし、Cassは叔父らの助言に耳を貸さず、Nigelの滞在を許します。
Londonの社交界にさえ顔を出したことがないCassは、Nigelの誘惑的な態度にどんどん魅了されていきます。数日後Nigelに求婚され、自立への希望と愛情の狭間で悩みながらも結局その申し出を受け入れます。そして結婚後にNigelの意図を知ったCassは…。




暗いのが苦手な人にはお勧めしませんが、私は大満足。心身ともに傷を負ったシニカルなヒーローと、世間知らずだ(った)けれど芯が強くて愛情深いヒロインの涙涙のロマンスに久しぶりに100%引き込まれました。
ヒーローの過去が少しずつ明らかになっていくプロットがけっこう複雑で、ヒロインと一緒になって悩みましたよ。それに、垣間見るヒーローの優しさが本当に痛々しくって…(ヒーローの苦悩っていうのがけっこう私のツボだったりします)。
主人公はもとより、脇役の人物描写もさすがバログ。それぞれの存在に意味があり、キャラクターが生きていました。主人公以外の二つのカップルのロマンスも感動的でした