The Last Rake In London by Nicola Cornick

The Last Rake In London (Harlequin Historical Series)

The Last Rake In London (Harlequin Historical Series)

★★★☆
1908年ロンドン。
27歳のSally Bowesは、男爵だった父親の死や自身の不幸な結婚を乗り越え、現在はロンドンでBlue Parrotという高級クラブを経営しています。Jack Kestrelは、いずれは公爵家を継ぐ立場にありますが、10年前の悲劇的スキャンダルの後、ずっと英国を離れていました。帰国後まもなく、従兄のBertieの愛人が病床にあるBertieの父親(=Jackの叔父?伯父?)にblackmailを送ったことを知り、立腹したJackは送り主のMiss Bowesをやり込めようとSallyに近づきます。しかし、実際の送り主はSallyの妹Connieで、Sallyは何も知りませんでした。 いったんはSallyの無実を信じ、なぜか彼女に強く惹かれている自分を認めざるを得なかったJackですが、過去の二つの出来事を知るに至って、Sallyもグルになって常習的に男からお金を巻き上げていると思い込み、復讐しようと考えます。 


最近疲れ気味なので、短めの本でイギリス人作家の作品を・・・と思い、TBR Pileのなかからこの本を選びました。時代設定がエドワード朝という作品は初めてです。リージェンシーやヴィクトリアンの背景と近代的な背景が入り混じっていたので、読み始めたときに不思議な感覚がしました。
作者の前書きにもあるけれど、ロンドンにはもう地下鉄が開通しているし、ヒーローは自動車を運転していて、ヒロインは女性参政権獲得の活動グループに属しています。ヒロインは貴族の娘だけれど実業家で自分をしっかり持っている女性。お相手はlast rakeの名の通り、一世紀前の典型的な高慢ヒーローです。
278ページという短いストーリーだったので、ロマンスの展開も非常に早く感じたし、ちょっぴりhotでわあ、ハーレクインだ〜と思いましたが、まずまず楽しめた作品です。二人とも過去の出来事にずっと責任を感じているのですが、「そこまで責任を感じる必要はないよ」と互いを諭し癒されます。
ヒロインの妹Connieが本当に自己中心的で、二人が姉妹なのが信じられないくらいでしたが、性格も行く末もP&Pのリディアを彷彿とさせるキャラクターでした。
Nicola Cornickの作品は初めてですが、なかなか筆力のある作家さんだなという印象を受けたので、もう少し長いストーリーも読んでみたいと思います。