Persuading Annie

Persuading Annie

Persuading Annie

★★★★☆
ジャンルはBritish Chick-lit。オースティンのPersuasion (邦題;説得/説きふせられて)の現代ヴァージョンで、とてもwittyな小説。笑いどころも多かったけれど、泣きどころもありです。最近ヒストリカル・ロマンスばかり読んでいたので、とても新鮮な感覚で読むことができました。

19歳で大学生のAnnieは3学年上のJakeと付き合ってまだ2ヶ月ほど。でも相思相愛を確信しています。Annieは妊娠したと思い込み、大学卒業を控えたJakeとパリへの駆け落ちを計画。Annieはお金持ちのお嬢様なのでJakeが経済的に独立するまでは金銭面でサポートするつもり。でも親友のCassに告白してしまったことから、Cassの母親でAnnieの名付け親のSusannahにばれてしまいます。駆け落ち10分前にSusannahがAnnieの部屋へやってきて、お金目当ての男と駆け落ちなんてしちゃいけない!と説き伏せます。Annieの混乱に追い討ちをかける様に実は妊娠していなかった!ことが判明します。気持ちの整理が付かないでいるうちにJakeが迎えにやって来ますが、Annieの"I'm not pregnant!"の意味を思いきり誤解して、激怒したまま傷心のAnnieの前から立ち去ります。 7年後、Annieの父親の会社が危機状態に陥り、偶然にも会社を救うために雇われたコンサルタントがJake。そして二人は再会しますが、互いを許せないまま。でも本心は・・・
主人公Annieのキャラクターがオースティンの「説得」よりもインパクトがありました。Jakeはウェントワース大佐よりやや影が薄かったような気もしますが、立派なキャリアを築いたにも関わらず、7年前のことを引きずっていて心理カウンセリングに通っているところなど、人間味が感じられて良かったです。鏡ばかり見ているナルシストのAnnieの父親、Annieの姉妹、若い頃に二人の駆け落ちを説得して止めたSusannahなど、以前読んだ原作の登場人物が頭に浮かんできました。いろんなエピソードも現代版ではこうきたか〜と感心。パロディーに近いものがあり、オースティンを読んでいてこその面白さだったと思います。
Annieの甥っ子が怪我をする場面、原作では木から?落ちて頭を打ったはずだけど、こちらはおもちゃの消防車のはしごを鼻に突っ込んで抜けなくなってしまい、病院へ(爆)! 浪費家のAnnieの姉妹は、ヨガ、リフレクソロジー、頭蓋整骨etc.果ては腸内洗浄まで、故ダイアナ妃も取り入れていたような美容健康法を何でもやっていたり・・・。
最後のウェントワース大佐とほぼ同じ書き出しで始まる手紙は、現代版ということで手書きではないのですが、(Jakeはタイプ打ちがとても苦手なようで)スペルミスが爆笑ものでした。笑いどころは書ききれません。ほのぼのハッピーエンドも良かった☆ 

著者はP&Pの現代版 Pride,Prejudice and Jasmin Fieldという本も書いていて、ファンからは他のオースティン小説の現代版の執筆も期待されていたようですが、残念なことに2年前、37歳の若さで他界されています。 確かにエマやノーサンガー・アビー版も読んでみたかったなぁと残念に思います。