My Sunshine by Catherine Anderson

My Sunshine (Coulter Family)

My Sunshine (Coulter Family)

★★★★☆
邦訳もされていますが、原書で読んで本当に良かったです。
以下ネタばれあります。



獣医師で双子の兄と一緒にクリニックを開業しているIsaiahは、まるで動物病院版ERのように多忙な毎日を過ごしています。しわくちゃの服を着て、左右不揃いの靴下を履いているし、患者の治療に夢中になると食事をとる事も忘れてしまい、低血糖症状で手が震えて治療に支障を来たした時点で、初めて「何か食べなければ!」と思い出すほどのワーカホリックです。

Lauraは元科学者で、環境リサーチ関係の仕事をしていましたが、5年前の事故のせいで失語症になってしまいます。 懸命なリハビリの結果、日常生活に必要な言語のほとんどは、ゆっくりとでも話すことが出来るようになります。インテリジェンスは以前と変わりないのに、言葉を発したり読んだりすることが困難・・・そんな状況に絶望して意欲をなくしたりせず、前向きに自活するLauraは、"sweet"という言葉がぴったりの天使のような女性です。

Isaiahの母親とLauraの祖母は友人同士。Isaiahの母親は、クリニックのケンネル・キーパーとしてLauraを雇って欲しいと息子に頼みます。ケンネル・キーパーの仕事は要するに入院動物の下の世話や食事の世話が主で、キツイ・キタナイ・キュリョウヤスイの3K職(死語?)。長続きする人があまりいない状況。Lauraは動物が大好きだし定職に就きたいと考えている。双方にとってとても良い話じゃないかと強く勧めますが、心の隅では二人が一緒になってくれたら・・・というmatchmaikingも・・・。

最初、障害者を雇うことを躊躇していたIsaiahですが、Lauraと面接してみて、即彼女を雇うことに決めます。

ここから作者は、動物医療の世界&Lauraが困難を乗り越えてプラスアルファの仕事をこなしていく中でIsaiahとLauraが互いに自然と惹かれていく展開に300ページほど費やしています。 子どもを庇って車にはねられたシェパード犬(盲導犬サーブを思い出します)、尿石症のネコ、鳥の骨を食べて胃壁に骨が突き刺さったイヌらの緊急手術、自己免疫疾患のイヌのホルモン治療の話など、かなりリサーチしているなぁと感心するような症例がたくさん出てきます。昔、アメリカに行ってtechの資格を取りたいと思ったこともある私は、ヒーローとヒロインが手も握らない300ページ超も、十分楽しめました。一つ一つのエピソードがイメージできたので、どんどん読み進んじゃいました。

一度は互いの愛情と結婚の意思を確かめ合う二人ですが、LauraはIsaiahを愛するがゆえ、自分のような人間は身を引くべきだ・・・と考えます(涙)。

完璧すぎるLauraの性格、身なりに構わなくても十分魅力的なヒーローの激甘ストーリーですが、ロマンスはあくまでも精神的な部分がメインです。