Simply Perfect

Simply Perfect (Simply Quartet)

Simply Perfect (Simply Quartet)

★★★★☆
ジャンル: ヒストリカルロマンス>リージェンシー
読了日:2008年12月31日
Simply Perfect、時々オーディオブックの助けをかりてなんとか年内に読了することができました。 Rosalyn Landorさんのナレーションだとほぼ本を読むのと同程度に理解できるので助かります。この作品、audibleで購入できないのでBooks on Boadというサイトで初めてダウンロードしたのですが、音質がちょっと悪かったです。

Simplyシリーズの取りをつとめるのはBathの女学校校長Claudia Martin。ヒーローはOne Night for Loveにも登場したJoseph Fawcitt(Attingsborough侯爵)です。
Claudiaは、とうの昔に恋愛や結婚から身を引いた35歳のキャリア・ウーマン。4年の間に同僚であり親友でもある3人の教師が次々に幸せな結婚をし、学校を去っていったため、一種の喪失感を覚えながらも感傷にひたっている暇などなく、毎日忙しく過ごしていました。 そんなある日、Attingsborough侯爵と名乗る人物が学校を訪れます。 貴族嫌いのClaudiaは侯爵と聞いただけで警戒しますが、現れたのはとても魅力的な容姿の人当たりの良い男性でした。さっさと用件を聞いて立ち去ってもらいたいと願うClaudiaでしたが、Susanna(Simply Magicのヒロイン)からの手紙を携えてやって来たAttingsborough侯爵は、校内を案内して欲しいというだけでなく、卒業生2人を連れてロンドンの代理人のもとを訪ねることになっていたClaudiaのエスコートまで申し出ます。

Josephが女学校に興味を示したのには、実はごく個人的な理由がありました。 上流社会の人間と関わるつもりなど毛頭なかったClaudiaですが、Josephからの相談を受け、プロの教師としての立場から、彼の私生活に深く関わっていくことになります。自然と惹かれあう二人でしたが、身分の違い以外にもClaudiaの過去と現在のキャリア、Josephの秘密と婚約間近な女性の存在など、二人が互いの間の距離を縮めてはいけない理由がいくつもありました・・・


前作の若々しい二人とは全く違ったタイプのヒーロー&ヒロインの大人のロマンスですが、今回もとても繊細なストーリー。ロマンティックさには多少欠ける感じもしましたが、全体的に良質な作品で、2008年の最後の本として選んで良かったです。人生経験豊富なBalogh自身のメッセージが、18や20歳くらいの小娘の口からではなく、35歳のClaudiaから伝えられたので、とても共感できました。
不満が残るとすれば、
・ストーリーの中で重要な役割を担っている全盲の少女Lizzyが「天使ような少女」として描かれ過ぎていて、ちょっぴりひいてしまったこと
・Claudiaが貴族(特にDuke)を忌み嫌うのには過去に何かあったのだろうと想像はしていたけれど、実際の理由はいま一つ説得力に欠けるものだった   というあたりでしょうか…
本作では、One Night for Love, A Summer to Remember, Slightly&Simplyシリーズの主要人物たちが広く浅く登場しています。その中ではFreyjaの存在感が一番だったかな? 女学校の匿名後援者の正体が明らかになった場面でのClaudiaとFreyjaのやりとり、それぞれのキャラが良く出ていてカッコよかったです。