Simply Magic 読了

Simply Magic (Simply Quartet)

Simply Magic (Simply Quartet)

★★★★★  ジャンル : ヒストリカル・ロマンス>リージェンシー
Simplyシリーズ第3段です。
ヒロインはBathにある女学校の教師、Susanna Osbourne。
ヒーローは、A Summer to Rememberの最後のほうに登場したLaurenのいとこ、Whitleaf子爵、Peter Edgeworth。Kitが「あと数年もすれば多くの女性を虜にするだろう」と予言?していたハンサムな青年です。(あれから5年以上経っているのかな・・・?)

SusannaとPeterはそれぞれの友人から招待され、Summersetで2週間の夏季休暇を過ごすことになります。SusannaはPeterに会った瞬間、思い出したくない過去がよみがえり、凍てつきます。そんなこととはつゆ知らず、愛想良く魅惑的な笑顔で応対するPeterは、相手の予想外の冷たい反応に戸惑います。でもSusannaの姿を目にした瞬間に漠然とだけど“There she is…”とビビっと来るものを感じたPeter。絶対に彼女と仲良くなるぞ!と心に決めます。
(以下、ネタばれあり)

Susannaも、優しくユーモアのあるPeterの人柄に次第にひかれていき、二人は「良き友人」として認め合うようになります。皆で楽しんだボート漕ぎ競争、初めての舞踏会で踊ったPeterとのワルツ…12歳の時から女学校の世界しか知らず、これからもずっと教師として生きていくつもりのSusannaにとっては一生ものの想い出。その宝物を糧に明日から元の世界に戻ろうと割り切っていたはずなのに…。

別れの前日、二人は計らずも「友人同士」の一線を超えてしまいます。 Peterは「これからも側にいて欲しい、どこか旅に出よう…」と提案しますが、そんな非現実的な申し出を受け入れられるはずもなく、SusannaはPeterに別れを告げ、傷心Bathへ戻ります。

二人は、Susannaの同僚Anneの結婚パーティーで再会します(このあたりのシーンはSimply Loveと重なります)。PeterがBathに滞在している間に二人は何度か行動を共にし、PeterはSusannaに結婚を申し込みますが、簡単に断られてしまいます。貴族と教師という身分の違いだけではなく、SusannaにはPeterの申し出を受け入れられない別の理由がありました。

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この作品、とても良かったです。キャラクター主導の繊細なロマンスです。わたしにとってはヒーローとヒロインの両方に共感できるストーリーでした。ドラマチックな展開がなくてもしっかり読者(=わたし)をストーリーに引き込む力はさすがMary Balogh〜!と思いました。
Susannaには、11年間誰にも打ち明けずに背負ってきた重荷があります。暗い過去(=父親の死に関係)と決別するために勇気を振り絞ってしなければならないことがありましたが、背を向けるほうがかんたん…でもPeterのサポートがあって真正面から向き合うことができました。(涙なみだの場面でした)
Peterは幼くして爵位を継ぎ、母親と5人の姉をはじめとする取り巻きに守られて育ちました。21歳の時のある出来事をきっかけに実家とも母親とも距離を置き、用心深く生きてきましたが、そろそろSidley Parkの領主として責任ある行動をとらなければなりません。その一歩を踏み出すよう背中を押してくれたのがSusannaでした。
そんな二人が最後の最後に結ばれることになって、本当に嬉しかったです。 (特別許可証で結婚するケースが多い中、8か月もの婚約期間をおいて一緒になったカップルは珍しいのでは?) 

傲慢な印象のAlphaヒーローに対して、PeterのようなNice guy をMr.Betaと呼ぶらしいですが、わたし、このBetaタイプのヒーローってけっこう好きなのです(^^)。 著者の熟達した筆力のおかげか、Peterの台詞だけで彼の人柄というものがよくわかります。シリーズ前2作に続き、この作品も邦訳版が出版されるのか…翻訳情報に非常に疎いわたしにはわかりませんが、Peterの言葉は英語のままがいい! 日本語に変えてしまったら彼の魅力が半減してしまうのじゃないかしら・・・。

さて、Simply Magicを読み終わらないうちに、予定より早くシリーズ4作目のSipmly PerfectのPBが届きました。聴きたいオーディオブックもあるし、Simply Magicの余韻が消えないうちにSimply Perfectを読みたい気持ちもあるし、どうしよう。 贅沢な悩みですね。
読む気満々なのに、多忙な時期に突入してしまうのが残念・・・